top title

 

 
BACK

NEXT

11月13日
HOME
NEXT

お陰様で海老名での展示会は無事終了致しました。お忙しい中、お越しくださった皆様、ありがとうございました。

今回の私なりのテーマは、ここ5年の間に自分の絵についての感覚や姿勢にどのような変化が生じてきたのかを確認することでした。

故・加山又造先生が著書で語られていた「絵がわかってくると怖くて自分の作品を発表できなくなる」という言葉が示唆する、

頭の中にもやもやとある絵画の理想と現実の自分の作品との格差ばかりが気になってしまう、という状況を克服するために、

結局はその時に自分にできるベストと思われることをカタチにする(具体的に行動する)しか打開策はない、という当たり前の結論に至るのは、

私もアタマではわかっているつもりです。

 

しかし、5年はあっという間に過ぎ去り、私は結果を先延ばしにし続けて自己嫌悪になることの繰り返し。

この状況を打開するきっかけにでもなれば、と思って、今回、販売ノルマも気にすることなく、画材も扱いやすい水彩でと、

比較的気軽に描ける条件のそろった展示をすることにしました。

日本画材という少々気難しい画材から解放されて「何を描くのか」という点に集中できた制作過程はいい経験になったような気がします。

(日本画材から少し距離をおくことができたことで、かえってこの画材の良い点の再発見もいくつかできたような気がします。)

 

今回の作品制作あたり、私なりに最も気を使ったのは“より良いフォルムと構図”です。

私が植物などをモチーフにすることから最も学びたいと思っているのは、自然が生み出すバランスのとれたフォルムです。

生半可な人間の空想の領域を軽々と飛び越えていく色や形の多様性と均整の在り方から学んで、私自身の造形力を磨きたいと思っています。

また、ここ数年はスケッチの段階でもかなり取捨選択して構図を組み直しつつ描いていますが、

スケッチをしてからかなり間を置いてある程度客観視できるような状態でさらに構図を組み直してみると、より自由に組める実感はつかめました。

横山大観だったか何かで読んだ誰かの言葉に、スケッチは「少し寝かして(間をおいて)から使ったほうがよい」とあったのを思い出します。

 

ただ、5年前、ただ花を並べて画面を埋めるだけの絵が自分に習慣化してしまうのを恐れて展示会を避け、「情感」について

自分なりの答えを導き出したいと願ったことはまだあまりカタチになっているとは思えません。

締め切りが近づき、作品数を揃えなくては、と思って、いくつかは結局安易に花を並べただけの構図を組んでしまった自覚があり、

反省しています。